みなさん、こんにちは。コグニロボ株式会社の代表を務めている和田です。コグニロボでは企業向けのAIソリューションを提供しています。
今日は、「大企業がAIソリューションを採用することにした決め手となる理由」について実例を元にお話いたします。
AIはあくまでも手段である
「ぜひ当社でもAIを!」
というお声を非常に多く頂戴しております。ですが、AIはあくまでも目的達成のための手段であることは忘れないでください。AIを使わなくてもその企業の課題がAIを使うよりもスムーズに解決できるのであれば、むしろ使わないほうがよいと考えています。
AIが優れているところは、人間には到底真似することのできない計算能力の高さにあります。
AIをすごさを考えるときには、例えば「移動」という手段を考えるとわかりやすいです。産業革命以前は、遠くまで行くためには何日も馬車に乗らなければなりませんでした。しかし今では飛行機を使って1日で地球の裏側まで飛んでいくことができます。AIのテクノロジーの進歩は目覚ましく、このような産業革命時のときのようなインパクトが現在進行形で発生しています。
「移動」の例で重要なことは、テクノロジーのすごさの比較だけではありません。移動の手段は目的地によって適切に選択されます。近所の八百屋さんに行くために飛行機を使おうと思う人はいませんが、ブラジルまで早く行こうと思ったら飛行機に乗らない手はありません。
AIもこれと同じです。
AIではデータを分析する際に、天文学的な数字の組み合わせを試すことが可能です。今までであれば人間が1か月かかっていた仕事や、あるいは100年かかっても終わらないような仕事をAIを使うことで1日で完了させることができるようになりました。
近所の八百屋さんに行くという目的であれば飛行機(AI)を使う必要はありません。
ただ、ブラジルまで行こうと思ったら飛行機(AI)を使わないと目的を達成することはいつまで経ってもできません。
人間が得意なことは人間がやる、AIが得意なことはAIにやらせる、という役割分担がAIの活用を考える上では非常に重要なポイントになります。
AIに対する大企業の役員の反応は?

AIについての話が長くなってしまいました。ここからが本題です。
当社では大企業の役員クラスの方に直接話を伺う機会が多くあります。その中で印象的だったのが、ある経営者の方の言葉です。
先週、システム系のベンダーが、「AIで御社のデータを活用しませんか?」と営業に来られたけど、難しいAIの技術、ディープラーニングとか……の話だけをされていて、何をどうやって使えばよいかよく分からなかった。
これに似た話を非常に多くいただいています。AIの技術は非常に素晴らしいものなのですが、技術は手段であり技術そのものが目的を達成させることはありません。
そこで当社では技術の話にフォーカスするのではなく、最終的には売上を伸ばしたいという企業様に対し、AIを使用することでその課題をどう解決できる余地があるのかについての具体的な話をさせていただいております。
たとえばある企業様では、自社の優良な顧客、または離脱してしまいそうな顧客の兆候や特徴を明らかにしたり、兆候や特徴を明らかにした上で、将来の顧客の行動予測を行うAIの作成について提案をさせていただきました。
また、最終的にAIでできる具体的な解決イメージと共に、AIを作成するためにはどういったプロセスが必要で、どういった産みの苦しみがあるのかについてもお話させていただいています。
AIを活用する上で最も重要なもののひとつが、トライアンドエラーを繰り返すことです。AI活用におけるトライアンドエラーには、課題に応じたデータがあるのかどうかを検証する作業、データの前処理の作業なども含まれます。
たとえば購買履歴を分析して、売上向上のための施策を見つけ出せないか?と考えたときに、購入の時間帯を重視することを考えてみます。
このときに購買データの時間データを時間単位・分単位で分けることはすぐに思いつきますが、分析対象である商品の特性を加味するとそれでは不十分なことも多くあります。
AIは非常に賢いので、分単位で行動パターンを見つけることは可能ですが、分単位での分析結果が出てきても、それは人間が活用しにくいデータになってしまうためです。
具体的には平日・休祝日の要素を考えたり、出勤の時間帯(始発から10時まで)昼、夕方(帰宅の時間帯)、深夜から始発というように、タイムスタンプをグルーピングすることも考えられます。
重要なのは、AIが出した結果を 人がどのように 活用したいのかという視点です。
こういったお話を各企業様の状況に合わせてさせていただくと、具体的な活用のプロセスや改善の道筋が見えてくるので納得感をもってご判断いただけることが多いです。
そして最終的には、「とにかくやってみよう」とご判断されることが経験上は多くあります。
決め手は?

決め手として企業様からお声をいただいている点は大きく2つに集約されます。
- AIに関して、技術的な側面だけでなく、実務的な観点から活用や改善のプロセスを明らかにしている企業か
- 自社の課題に対する理解が深く、継続的なトライアンドエラーを二人三脚で繰り返していける企業か
この2点は企業でのAI活用を考える上で非常に重要であると当社でも考えています。
ぜひ参考にしてみてください。
次回はより具体的なAIを使ったPoC(概念実証)についてお話していきます。
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