こんにちは。やまたかです。
データ活用で事業を一層促進させようということが叫ばれ始めて、一定の時間が経過しました。この考え方には私も大いに賛成ですし、世の中の大半の方が異を唱えないとは思うのですが、果たしてどれくらいの割合の人や企業が事業促進につながるデータ活用をしているのでしょうか?
データ分析からすべては始まる
企業の規模や業種、その人が所属している部署などによってデータ活用の度合いは様々ですが、結論として、データは確実に事業促進につながると断言して良いと思います。
その理由には、今の日本が置かれたシチュエーションが大きく関係していると考えます。
かつての日本には物資が不足している状態でした。企業にとって、事業上重要な戦略は如何にコストを下げて大量に作れるかでした。
ところが近年では物資はもちろんの事、情報も大量に世の中に溢れるようになり、企業はこれまでの戦略から転換を余儀なくされています。
その際に重要な意思決定の助けとなるのが『データ』となります。
日常業務において、
- データ収集
- データ分析
- 仮説
- 施策立案
- 施策実行
- データによる検証
というサイクルで仕事を進めている人であれば、データの重要性は実感されているかと思いますが、そうでない方にとってはデータにどれほどの高い有効性があるかはまだまだわかりにくいのが実情と思います。
以下に、データを活用して事業の発展に寄与した例を紹介したいと思います。
いずれの例も極めて単純なデータ分析とそれによって行ったシンプルな施策ですが、企業にとって高い効果をもたらした実例となってます。
事例:オンライン専業証券の例
オンライン専業として事業運営しているX証券は、事業の重要なKPIの一つとして新規の効果座開設数を設定してます。新規口座開設数が一定のペースで増え続けることを重要視しており、以前からこの増加ペースを引き上げたいと考えてました。
この突破口を様々な角度で検証をしましたがこれといったものに中々に辿りつけなかったので、外部のDMPと連携することで新たなデータを得る形で分析を深めようとしました。
具体的には、自社WEBサイトへの訪問者に、外部DMPが持つデモグラフィック情報(性別や居住地、趣味趣向などの情報)を組合わせて分析をしたのです。
すると、今までは見えなかった改善すべきポイントが明らかにりました。
このX証券の主要顧客の多くは男性であり、その割合は80%にも達します。
既存顧客の性別割合も約80%であり、新規口座開設者の約80%も男性です。
ここまではこれまでも得られていた情報ですが、新たにWEBサイト訪問者に対して外部DMPの情報を組合わせた結果
“新規口座開設者向けのランディングページへの訪問者の男女比率は男性60%、女性40%”
ということがわかりました。
つまり、
- ランディングページの男女比率 6:4
- 新規口座開設者の男女比率 8:2
となっており、自社WEBサイト上で女性の口座開設割合が低いということが数値上明らかになったのです。
ランディングページに到達した女性のうち、半分しか口座開設に至っていないということですね。
そして、この原因をランディングページ上のコンテンツでは女性が安心感を得るに至っていないという仮説を立てたのです。
そこでX証券は、女性が安心して投資できるような情報を追加掲載するようなランディングページの改修を行いました。
この改修以降、口座開設に至る男女比率は以前の6:4から7:3にまで女性比率が高まったのです。行ったことは、女性向けのコンテンツをランディングページ上に配置しただけです。
たったそれだけで、X社はこれまでの主要顧客層である男性に加え、女性という新たな顧客層を開拓することに成功しました。
そしてそれ以降、X社の女性比率は少しずつ上昇し続けています。
まとめ
分析そのものもシンプルですし、仮説や行った施策も極めてシンプルですが、データ分析で得られた知見とそれによってもたらされた効果はストック的に継続して企業に利益をもたらします。
特段複雑なことをするのがデータ分析ではなく、収集された情報に正しく向き合うことの大切さを教わったような事案でした。
同様の例を、また次回にでも紹介していきたいと思います。