不況期において適切な戦略は、マーケティング予算を“増加させること”である

マーケティング部門はより小さな予算で大きな効果をあげることを日々求められるづけている。

「マーケティング部で遊ばせておく予算はない」

と言わんばかりに、業績が悪化すると真っ先に予算を削られるのがマーケティング部だ。ブランディングや認知率向上という売上に直結しない活動に取り組むマーケターは具体的な成果をどう見せるのかという課題に常に直面している。

新型コロナウィルスが猛威を振るう中、マーケティング費用がコストカットの対象にされてしまうケースは残念ながら非常によく見られる。今日は不況下においてマーケティング部の予算を削ることは適切なのかどうかについて過去の事例を見ていく。

不況期にマーケティング予算を増額したことで成功した事例

16業種600社の動向調査

古い調査だが、米国における不況期に関する調査に、16業種600社に対しての動向調査がある。1980年~1985年にかけて、マグロウヒル・リサーチ社が行ったものだ。

この調査によると、1981~1982年の不況期に広告宣伝費を増加させた企業群は、同期間にコストカットを行った企業群に比べて、不況期中~その後の3年間で大きく売り上げを伸ばしている。広告宣伝費を増加させた企業と削減した企業を比べると、1985年時点での売上は増加させた企業群が削減した企業を256%上回っていた。

101の有名ブランドの調査

数値を示すことができる例はまだある。

1989~1991年の景気後退の間に比較された101の有名ブランドの売上を見てみると、24~64%売上高が減少している。売上が減少した企業にはそれまでは好調で、ブランドとしての力も強いJell-O、Crisco、Green Giant、Doritosといった企業が含まれている。

しかし、このタイミングでマーケティングに対して追加投資を行ったProcter & Gambleではピーナッツバターの売上が57%アップし、サラダドレッシングでは売上は70%アップしている。

もちろんマーケティングを強化したほうが良いのは不況期に限った話ではないが、不況期に投資を行うことで顧客基盤が強化され、及び腰になっている競合からシェアを奪うことに成功している企業が多い。
その結果、不況期以降の景気回復期でもさらに業績を上向かせる態勢を整えることができている。

そうはいっても予算を増やすことはできない!

過去の事例を見ていくら不況期にマーケティング投資を行えた企業が多いとは言え、簡単に真似をすることはできない。これらの調査からは確かにマーケティング投資を行った企業の業績が伸びていることがわかるが、裏を返せば不況下にも関わらず積極投資を行えた企業が結果的に生き残り競合に対して優位になっただけであるとも言える。

ただし予算が増やせない中でもできることはある。
完璧なデータを揃えずに分析できることはたくさんあるし、まず数千・数万単位の顧客データを取り扱う場合は専門ツールがなくてもExcelで十分にデータ整理・整形を行うことができる。
今は様々なSaaSソリューションが多く世に出回っており、初期投資を抑えて高度なツールを使用することもできる。
ポイントは勝ち筋がある程度見えていて、少ない予算で実現できるものに集中的に投資を行うことだ。

実際に不況下であっても予算的に実現可能な取り組みは多くあり、多くのケースで障壁となっているのは予算ではなく社内プロセスであることが多い。

協力者を見つけて小さく始める

ドラッグストアチェーンのウォルグリーンズではマーケティン部が行った分析結果に基づいて広告出稿のプロセスの変更を推し進めたが、店舗オペレーション部門の強い反対にあい、数週間後には元のマーケティング手法に戻す決定がされてしまった。

そこでこの企業では小さくやり直すために店舗オペレーション部門幹部と地域マネージャーの中から、新しい取り組みを試すことに賛同してくれる仲間を見つけるところからスタートし直し、交渉の末に5つの地域でテストケースとして新広告出稿を試し、そこで成果を上げてから全体に押し広げる方法を取った。
こうすることで全米で広告出稿方法を変更し、大きな広告費用最適化を行うことができた。

今日あげた事例はすべて米国のものだが、マーケティング予算が削減されやすいことや、新しい取り組みを行うにあたり、社内プロセスの変更が求められることなどは日本でも変わらずに当てはまることだ。むしろ日本のほうがより当てはまるのではないかと思う。

予算削減に苦しむマーケターの方は参考にしていただければ幸いである。
当社でも小さな取り組みを歩みを止めずに進めていき、コロナ禍を乗り切り飛躍につなげていきたい。

※参考文献
 『データ・ドリブン・マーケティング』マーク・ジェフリー著

 

マーケターの方向けの、マーケティングにAI活用が進まない3つの理由とその解決策についてまとめた資料を無料で配布しています。

お気軽にダウンロードしてみてください。

>無料でDLする<