人工知能は人間を超えられるか

何でもこなせる夢のようなAIが登場する日は来るのでしょうか。家の掃除や料理をしてくれたり、話し相手になってくれたり、災害時などの緊急事態では救助活動を行ってくれるようなAI(ロボット)ができれば人類社会は現在とはまったくものになることは想像に難くありません。

しかしAIの研究者たちは、まだそのレベルのAIが実現するのは遠い先になるだろうと考えています。何でもできるAIは汎用AIと呼ばれるものであり、今活躍しているAIとはまったく異なるレベルのものになるためです。

特化型と汎用型の2種類のAI

AIは特化型AIと汎用型AIの2つに分類することができます。特化型AIは、たとえば猫と虎の画像を識別する専用AIだったり、囲碁や将棋といったボードゲーム用のAIだったり、自動車を運転するための専用AIだったりします。あらかじめ想定した課題しか解決できないのが特化型AIです。

それに対して、汎用型AIは想定されていない未知の課題を解決することができます。未知の課題に対応することはAIにとっては至難の業です。よくAI業界では汎用AIの基準として「コーヒーテスト」という言葉が使われます。

「コーヒーテスト」とは、間取りを知らない家に上がってコーヒーを淹れることができたら汎用AIであると言える。という判定基準です。Apple創業者の1人であるスティーブ・ウォズニアック氏が「我々は知らない家にあがってコーヒーを淹れる機械を決してつくれないだろう」と予言したことに由来します。

「コーヒーテスト」を人間がクリアすることは簡単です。インターホンを押し、家に入れてもらって、コーヒー豆やコーヒーメーカーといったコーヒーを作るために必要なものがどこにあるのかを聞き、キッチンでお湯をわかしてコーヒーを淹れるだけです。

しかし、AIにとってはこれは無理難題になります。まず家に入る前に「家とは何か」を理解し、キッチンに行く前に「キッチンとは何か」を理解し、コーヒーを淹れる前に「コーヒーとは何か」を理解しなくてはなりません。
家に入ってコーヒーを淹れるというだけでも無数の課題をクリアする必要があります。

汎用型AI実現のためには“常識”を理解しなければならない

人間であれば“常識”に照らし合わせて最適な行動を取ることができますが、AIには“常識”という概念がないので今のままですと1から100まですべてを教えこまなければなりません。これは言い換えると、AIには抽象化能力が欠けているということを意味します。

常識の獲得のために何が必要かは様々な意見がありますが、単に特化型AIを組み合わせることには限界があるという意見が多くあります。ドワンゴ人工知能研究所の山川博士はこう言っています。

特化型AIの組み合わせでは、どのAIにどのどのタイミングで任せるかを判断する難しさもありますが、最大の問題は「事前に用意していない課題にまったく対応できない」ことです。それに対して汎用型AIは、未知の状況にも対応できるという点が重要です。

そのため汎用型AIに向けたアプローチでは、人間の脳を参考にしたAIを作成する「全能アーキテクチャ」という取り組みが行われています。全能アーキテクチャでは人間の脳を解明し、脳の構造に対応したモジュールを適切に組みわせることで、人間と同程度の知性を持つ汎用型AIを作ることを目指しています。

意識や感情を持ったAIは実現するか?

では脳を模して作られた汎用型AIが人間と同じような意識や感情を持つ可能性はあるのでしょうか。脳には感情や情動を司る部位が存在します。そういったものもモジュールとして組み込むことができれば、もしかしたらAIが意識を持つこともあり得るかもしれません。

その段階になると、技術的な実現可否の他にも、意識とは何か?という哲学的な問題や、意識を持つものを人工的に作り出すことの倫理的な問題など、別の問題も浮上してきそうですね。

アメリカの著名なAI研究科のカールワイル氏は、AIの技術的特異点(シンギュラリティ)の到来は2045年ぐらいになるのではないかと予測しています。本当にシンギュラリティが実現するのか、実現したとしてそのときに世界はどうなっているのかなど興味はつきません。

個人的には、シンギュラリティ到達後の世界をぜひ見てみたいと思っています。

 

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