AI投資は人間を駆逐するか?

AIの活用事例は様々ありますが、その中でも一般人が期待を寄せるもののひとつにAI投資があります。AIが勝手に利益を出してくれるという状況は耳障りがよく、魅力的に映ります。

ではAIによる投資判断は実際に人間の成績を凌駕しているのでしょうか?今日はAI投資の現状について紹介することで、AI投資は人間を駆逐するかどうか?に答えを出していきたいと思います。

そもそもAI投資とは?

まずはAI投資とは何か?と定義します。まず人工知能の投資分野への応用という広いくくりで考えると、AI活用は以下の4パターンに分類されます。

  • 投資判断支援
    決算短信やプレスリリース情報などのweb上から取得できる情報を集積して配信する分野です。大手情報サービスのQuickやフィスコといった企業が手掛けています。
  • 取引執行支援
    証券会社が顧客の機関投資家に向けて提供しているサービスです。短期間での値動きを予測し、有利なポイントでの注文執行を実現するサービスです。
  • 投資指標抽出
    投資指標として活用できる情報を収集・数値化するものです。画像やテキストなどの非構造データをラベル付けすることで実現します。具体的にはヘッジファンドが石油向上の衛星写真の分析して在庫予測を行っ田上で投資判断に役立てる、といった使用方法があります。
  • 投資銘柄選定
    直接株価予測を行い投資銘柄を選定するサービスです。投資信託商品として提供しているものと、自社運用を行っているものがあります。

AI投資と聞いてイメージするのはほとんどが「投資銘柄選定」であると思います。上記4つのAI活用の中でこれが最も難易度が高いものであり、本日のテーマでもあります。

「投資銘柄選定」をもう少し詳しく書くと、個別の銘柄の騰落率等の情報を解答とした教師あり学習となります。機械学習の中でもニューラルネット、ランダムフォレスト、サポートベクターマシンといった手法を用いて行うものです。
手持ちのデータを用いて予測精度の高いモデルを作成することが、投資銘柄選定を行う上でのゴールです。

AI投資の問題点

では投資銘柄選定を行う上では現状どのような課題があるのでしょうか。一言で言ってしまうと、「過去と未来は同一ではなくマーケットが変化するため予測を行うことが難しい」というシンプルな結論になるのですが、その理由を細かくわけて考えてみます。

ロバストなAIを作成することが難しい

よくAI投資や統計的な手法を用いた投資戦略の作成で問題になるのが「過学習」です。投資の分野ではオーバーフィッティング(カーブフィッティング)とも呼ばれています。

投資データは数が限られており過学習を避けることが難しいから、と語られることも多くありますが、これは正確な表現ではありません。機械学習の手法の中には、ドロップアウト、正則化、交差検証といった過学習を防止するための技術が存在します。また手法自体が過学習を起こしにくいものもあります。

それなら過学習にならないようにモデルを作れば良いのか?と思われるかもしれませんが、実際に過学習のないモデルを作成しても恒常的に利益を出すことは困難です。マーケットが過去に経験していない動きをしてしまったときに途端にモデルが機能しなくなってしまうためです。

AIを理解できない問題

AIはブラックボックスである、という問題です。可読性を持たない、と表現されることもあります。AIが出した解に対して唯々諾々と従うシーンは実際の運用の現場では起こりづらく、ある程度の説明力が必要になります。

人間がそのAI戦略を動かす際の意思決定をどのようなプロセスで行うのか、損失を出したときにその理由を顧客に説明する際にどう説明するのか。

こういったときに可読性がないAIは不利に立たされてしまいます。人間がAIを信用することができない問題とも言い換えることができます。

長期的な運用が難しい

AIによる運用を続けると、いつかは過去にないシーンに出くわします。米国のダウ平均株価が直近の100年でおおかた右肩上がりだったことを根拠に常に買いを推奨するAIは現在の金融システムがもし崩壊したら使うものにならなくなってしまいます。

ここまで極端な例でなくてもマーケットの変化が原因で作成したAIモデルが使えなくなってしまうときは遅かれ早かれやってきます。だからといって人間の判断が優れているという話にはなりませんが、AI投資に任せっぱなしにはできない理由ではあります。

この3つの理由をまとめると、「過去と未来は同一ではなくマーケットが変化するため予測を行うことが難しい」となります。
マーケットの変化を認知して次々と新しい戦略を繰り返し試行錯誤を行うことができれば変化に対応できると言えますが、現在のAIはその領域までは到達していません。

AI投資はどのように活用するべきなのか?

AI使用の有無に関わらず、未来を予測することは極めて困難です。現在は不可能であると断言できます。ではAIは無能で使えないものなのかというと、決してそのようなことはありません。AI(≒機械学習)はデータマイニングにおいて非常に有効な手法であり、統計的な裏付けのある一般に知られていない市場特性の抽出に役立ちます。しかしこれはあくまでも質の高いサーベイという位置づけに留まり、他のクオンツ手法と同じくひとつのツールでしかありません。

従ってAI投資が人間を駆逐するか?という問いに対する解答はNOとなります。この質問自体が見当はずれのものであると言えます。

AI投資という言葉に魅力を感じる人は多くいると思いますが、すべてをお任せできるAI投資は存在し得ないということは認識しておく必要があります。特にAI投資に関しては詐欺、あるいは限りなく詐欺に近いものも多いので注意が必要です。

また、未来を予測することは困難である問題は投資の分野だけでなく、マーケティングなど、それ以外の分野にも当てはまることです。AIは優秀なツールではあれど、魔法のステッキではないことはAIの活用を考える上で非常に重要なポイントであると考えています。

サーベイのツールとしてのAIに関しては、研究が日進月歩で進んでおり、関連した書籍や論文も多数出ている状況です。この分野について、専門書籍の中でも特に詳しく書かれているものは『ファイナンス機械学習』です。興味がある方は調べてみてください。

 

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