I know what you want, a recommender system says.

「あなたにお薦めの商品はこれですよ!」「あなたと同じような人は、こんな動画もみてますよ!」「レストランをお探しですか?この人たちのレビューを参考にしてみてはいかが?」「気になるニュース、これじゃない?」一度ブラウザを開けば、必ず現れるお節介なヤツ。いやいや、ブラウザの中だけじゃない。メールや LINE、Twitter、至る所にそいつは現れる。そいつの名は、recommender system。Recommend(レコメンド)は「推薦する」という意味なので、recommender は「推薦者」である。Recommender system を直訳すると「推薦者システム」ということになるが、ちょっと違和感を感じるのは私だけだろうか。Recommendation system (推薦システム)でよくないか(そういう呼び方も在る)?

現在の recommender system は AI(Artificial Intelligence)というカテゴリに分類して話されることが多い。つまり、我々と同じ、知能を持ったヤツなのだ。大量のユーザーの行動履歴(商品ページのクリック履歴や購買履歴、投稿したレストランの評価の履歴)やデモグラフィック(年齢、性別)、コミュニティ情報(SNS の友達)、商品の性質(内容やカバーフォト)などから人間と商品を学習し、知り尽くした強者なのだ。

スマホやパソコンを用いたネットサーフィン(言葉が古い?)に大量の時間を費やす現代人は、1日のうちに人から話しかけられる回数よりも、この強者から話しかけられる回数の方が多いのではないだろうか。

本企画では、Netflix や Amazon、Youtube など名だたる企業に積極的に研究され、その利益に貢献している、極めて身近なこの強者 recommender system について、これから数回を通して理解を深めていく。

Recommender System の歴史

コンピュータが発達する以前(もちろん今もだが)、人々は知人や店舗スタッフ、新聞やテレビ広告などから商品やレストラン、本や映画に関するレコメンドを受けていた。コンピュータの発達に伴い、1970年代後半には図書館で本をレコメンドする recommender system が登場していたようである[1]。当時の recommender system には学習という概念がなく、人が決めたパターンに従って本をレコメンドするというものだった。 

1990 年代に入ると現代の recommender system の中でも最も代表的な手法である collaborative filtering が開発された。Collaborative filtering は、レコメンド対象ユーザーと趣向の似たユーザーが過去に好んだものをレコメンドする[2] 手法の総称である。用いる情報は過去のユーザーと商品のインタラクション(商品ページのクリック、レーティング、購買)のみである。Collaborative filtering は、AI を用いずとも実現可能な手法であるが、AI の文脈で現在も積極的に研究が行われている。詳細は、後の章で解説する。この頃から、本だけでなく、音楽や映画、ジョークなど幅広い分野を対象として recommender system が研究されるようになった。1990 年代後半に入ると、Amazon.com のように実際の企業活動の中で recommender system を活用し成功を納める企業が台頭した。Netflix も 2000年に recommender system を用いたサービスの提供を開始し、2006 年には Netflix Prize と呼ばれる賞金 100 万ドルの recommender system のコンテストを実施した。Recommender system はそれだけの金額を投資してでも企業にとって益のあるものになっていた[3]。

こういった流れの中で、Recommender system は発展し、手法も collaborative filtering に加えて、ユーザーや商品の持つ特徴を元にレコメンドを行う content-based filtering、ユーザーの SNS 上の友達などユーザーの属するコミュニティの情報からレコメンドを行う community-based filtering、空間情報を用いたレコメンドを行う point-of-Interest recommendation、複数の recommender system を組み合わせる hybrid recommender system など、様々な手法が生み出された。

近年では、画像認識や音声認識における deep Learning の成功を受けて、recommender system でもその活用が始まっている。Deep learning を用いることで、ユーザーと商品の関連や、ユーザーの行動の時間的な性質の変化などをより精度良く捉えたレコメンドが可能となってきている。また、これまで別々に取り扱っていた情報を統合して取り扱い、これまでには捉えられなかったユーザーと商品の関連などを捉えることも可能となってきている。

一口に deep learning といっても、MLP, Autoencoder, CNN, RNN, Adversary Network など、その構造は多岐にわたり、また用いる情報も、ユーザーと商品のインタラクション、レビューテキスト、カバー画像、音楽、ビデオ、SNS など多岐にわたる[4]。本企画では、最新の deep learning を用いた手法についても、いくつかその詳細を紹介する。

参考文献

[1] Michael D. Ekstrand, et al.: Collaborative Filtering Recommender Systems. Foundations and TrendsR in Human–Computer Interaction Vol. 4, No. 2 (2010) 81–173.
[2] Francesco Ricci et al.: Recommender Systems Handbook. Springer Science+Business Media, LLC 2011.
[3] Wikipedia: https://en.wikipedia.org/wiki/Netflix_Prize
[4] SHUAI ZHANG et al.: Deep Learning based Recommender System: A Survey and New Perspectives. ACM Computing Surveys, Vol. 1, No. 1, Article 1. Publication date: July 2018.

 

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